おもな甲状腺疾患
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
甲状腺ホルモンは、体の代謝を活発にする働きがあります。バセドウ病は、このホルモンが過剰に分泌されることで、さまざまな症状が現れる病気です。
主な症状には、暑がり・発汗、手の震え、体重減少、動悸などがあります。ほかにも、いらいら感や疲れやすさなどがみられることがあります。女性では月経が止まることもあります。甲状腺が腫れて大きくなったり、眼球が突出したりすることもあります。
治療は、薬物療法、放射性ヨウ素内用療法、手術の3つがあります。多くの場合は薬物療法から開始しますが、薬でコントロールが難しい場合や再発を繰り返す場合、副作用などで内服継続が困難な場合には、手術を含めた治療を検討します。
亜急性甲状腺炎
甲状腺に炎症が起こり、甲状腺の組織が壊れることで発症する病気です。炎症による症状と甲状腺ホルモンが一時的に高くなること(甲状腺中毒症)による症状がみられます。
炎症による症状には、発熱、甲状腺の腫れ、強い痛みなどがあり、甲状腺ホルモンの影響によって全身倦怠感、動悸、多汗などがみられます。風邪の後に続いて起こることが多く、ウイルス感染が関与していると考えられています。
時間の経過とともに自然に改善することが多い病気ですが、高熱や首の痛みが強い場合には日常生活に支障をきたすため、症状に応じて副腎皮質ホルモン(ステロイド)や消炎鎮痛薬を使用します。
橋本病(慢性甲状腺炎)
橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれ、免疫の異常により甲状腺に炎症が起こり、少しずつ組織が壊れていく病気です。甲状腺ホルモンが少なくなる代表的な病気ですが、すべての方で機能低下が起こるわけではなく、一部の方のみが甲状腺機能低下症になります。
日本人に比較的多く、成人女性の約10人に1人、成人男性の約40人に1人にみられるとされ、特に30~40代の女性に多くみられます。
甲状腺が腫れて、首が太くなったように感じることがあります。一方で、橋本病の方すべてに症状が出るわけではありませんが、甲状腺機能が低下すると、寒がり、体重増加、だるさ、便秘などのほか、月経過多や気分の落ち込み、不安感などがみられることがあります。
甲状腺機能の低下がなければ、基本的に治療は不要です。機能低下がある場合には、甲状腺ホルモン薬を内服します。
甲状腺結節
甲状腺結節は無症状のことが多く、首のしこりに偶然気づいたり、検診などで指摘されたりする方が増えています。まれに、結節から甲状腺ホルモンが過剰に分泌される「機能性甲状腺結節」の場合があり、動悸、発汗過多、体重減少などの症状がみられることがあります。
甲状腺結節の多くは良性で、腺腫様甲状腺腫、濾胞腺腫、のう胞などが含まれます。一方で、一部に悪性腫瘍(がん)が含まれることがあります。がんの多くは乳頭がんで、比較的おだやかな経過をとることが多いとされています。
甲状腺に結節が見つかった場合、まず超音波検査を行い、悪性が疑われる場合には穿刺吸引細胞診を行って詳しく調べます。
良性であれば、原則として経過観察となりますが、結節が大きく圧迫症状がある場合や美容上気になる場合、あるいは悪性が疑われる場合には手術を検討します。悪性腫瘍の治療は、手術が基本となります。
また、当初は良性と考えられた結節でも、経過の中で変化がみられることがあります。そのため、良性と診断された場合でも定期的な経過観察が大切です。
当院では甲状腺結節の診療に特に力を入れております。気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。また、医療機関からのご紹介にも対応しております。
甲状腺結節の種類
甲状腺にしこりができる病気の中で、最も多いタイプです。甲状腺の細胞が増えたり壊れたりする変化を繰り返す中で結節が形成されます。複数の結節があるものを「腺腫様甲状腺腫」、単発のものを「腺腫様結節」と呼びます。いずれも良性であり、強い圧迫症状や美容上の問題がなければ、通常は手術を行わず経過観察となります。
甲状腺の濾胞上皮から発生する腫瘍で、良性の「濾胞腺腫」と悪性の「濾胞がん」を含む総称です。超音波検査や穿刺吸引細胞診だけでは良悪性の区別が難しいことがあります。
主に乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がんに分類されます。このうち多くは乳頭がんで、進行がゆるやかで予後が比較的良好なことが知られています。
治療の基本は手術ですが、病状に応じて放射性ヨウ素内用療法などを行うこともあります。また、転移のない小さな乳頭がん(一般に1cm以下)の場合には、すぐに手術を行わず、慎重に経過観察を行うという選択が推奨されることもあります。